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スズキ的イチニチ
第130話
「ガラパゴス」
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「 ガラパゴス 」
つい最近携帯電話の「ガラケー」の「ガラ」の意味を知った鈴木です。
当然皆様はご存じだったと思いますが、え?知らない?では得意げにお話ししますねガラケーのガラはご想像の通り「ガラパゴス諸島」のことです。
「ガラパゴス諸島」とは外部とは隔離されて独自に進化を遂げてきたといわれており、日本の携帯電話も海外の携帯電話と比べると独自に進化した機能がたくさんあります。要するに独自進化をいうらしいです。言い方を変えれば世界基準からかけ離れ反グローバル化と言われている日本だけのビジネス造語みたいです。
もともと日本人は「みんながやっているから」「みんなと同じ」という集団行動や集団心理が大好きな人種と言われていますがそれは日本人同士だけの話で日本人以外の外国人との集団心理は共有しないというか心の底であり「鎖国」というか「日本人以外を受け入れない」という島国的深層心理が生まれているのかもしれませんね。この事は日本人以外でもトリマー歴20年以上の私が感じたことですが総じて「日本犬」にも同じことが言えると感じます。
日本人の家庭で育った日本犬は家族を大切にし家族以外に心を開きにくい傾向があります。家族以外には警戒心を強め家族には従順、如何にも日本犬と感じます。でも海外で育った日本犬や外国の方が育てた日本犬はとても社交性が豊かで外交的であり根明な日本犬が多いです。
育った環境で性格が内向的になるか外交的になるか面白いもんですね。人間でも幼少期から海外で過ごされた方は表情豊かで社交性があり意思がはっきりされている方が多いですが生粋の日本人はやはり周りを気にして内向的でありシャイな方が多いですよね。別に内向的だから悪いわけではなく言い方を変えれば「お淑やかであり」「恥を知る」文化でもありますよね。文化は考え方であり良い面、悪い面双方受け取る側によって変わるものですから私は日本人の独特の文化や感性は大好きです。
このガラパゴスという独自進化はトリミング業界にも大きく及んできつつあります。
世界的に見て日本のトリミング技術は世界一の技術があり繊細さと丁寧さは群を抜いています。それはお客様のご要望に少しでも「応えよう」お客様に「喜んでいただこう」というトリマーの思いがトリミング技術の向上を押し上げてきた結果であります。しかしながら世界的にみるとトリミング技術やカットスタイルは「ガラパゴストリミング」になりつつある傾向があります。世界的にトリミング内容を見てみると欧米諸国は基本的にその犬種があるべき姿、所謂「スタンダードカット」が主流でありもしくは「丸刈り」が基本的な考え方になり飼い主の個々の細かな要望には応えていない現状があります。
日本のトリミング内容は世界的に見て特殊な傾向にあります。友人の外国人トリマーからすると日本のトリミングはお客様からのご要望はバリエーション豊富で独創的なスタイルが多く「擬人的」との事。確かに日本のトリミングスタイルは独創的と感じることがあります。特殊なカットやカラーリングやパーマ的な施術、マニュキア等世界的に見て日本は独自路線を突っ走っています。ただ「この日本的ガラパゴス化」の根底は「お客様にいかに喜んでいただくか」を突き詰めたおもてなしの心が具現化された日本独自の文化ではないかと感じております。
トリミングや携帯電話のガラパゴス化ではなく私たちの身の回りには海外では考えられない「お客様の為に」がたくさんあることを知ることができます。時には「大きなお世話」や「やり過ぎ」「過剰サービス」が取り上げられることがありますがやっぱり「人を思う気持ち」「喜んでいただく」「おもてなしの気持ち」は日本人にとって誇り高い文化ではないでしょうか?