前回へ

スズキ的イチニチ

第141話 「度が過ぎる」



次話へ
「度が過ぎる」


私はこの業界に25年程います。やはり犬や猫が「好き」だ。好きなことで仕事が出来るのは天職であり幸せなことだと自負している。ただ「好き」だけど「大好き」にならないようにしている。何事も大好きになってしまうと見境を誤り「ある一線を超えてしまう」事がある。私の場合、犬や猫を好きすぎて擬人化のように扱う事を自覚しているからです。

先日古い友人と飲んだ「ある一線を越えた」友人の奥様の話ですが、数年前に愛護センターから犬を引き取ってから奥様が「犬の愛護」に目覚め、愛護センターから「可哀そう」という気持ちだけで次々と犬を引き取り8頭の犬で溢れかえってしまったそうです。
旦那さんが「いい加減にしろ」と言えば「何も罪がない犬が可哀そう!あなたは血も涙もないのか!」と話にならない。その結果、奥様はボランティアがしたいという理由で旦那を置いて勝手に出てってしまい結局、離婚だそうです。離婚する前にというか犬を引き取る前に相談してほしかった。

ボランティアする気持ちは大切なことであり簡単にまねできない事は誰にでもわかる。ボランティアの方々がいなければ世の中が回っていない事も十分理解している。ただ、「自分の身の丈」を超えてボランティアすることには反対です。自分の生活が一杯一杯なのに無理なボランティアは最終的に自分がボランティアされる立場になり本末転倒だ。出来る事のボランティアは率先することは大事なことだが身の丈に合わない事をするとどこかで無理が生じ、全ての歯車が狂う事はよくある事。
先日もTVでボランティアの特集がやっていましたが、許容を超える犬猫を引き取り狭いマンションに押し込み悪臭と騒音で近所から苦情が出て動物愛護法違反で行政処分となったニュースを見ました。助けたい気持ちは大切だが身の丈を超えると誰も幸せにならない。命が絡むボランティアは慎重に身の丈に合う事から始めましょう